「へえ、あ、でも、リワーノフっていくつだよ? 十九年前にプロジェクトで活躍したって、そんな年?」
「当時Dr.リワーノフは十四歳でした」
「ひえ、天才かよ!」
端的なエミリの言葉に、デレクはひゅっと口笛を吹く。
「このプロジェクトに参加した科学者は天才集団でした」
エミリがにべもなく続けた。
「やがて一年後にはロケットは完成、高エネルギーレーザーが搭載され、何度かのシュミレーションと軌道実験も行われましたが、ロケットを確実に彗星へと誘導するシステムが今一つ微妙なところでした」
ここまでくると、映し出される彗星とロケット、エンジン、レーザーとそれらを生み出した科学者の顔に、ルカもデレクもじっと画面を見据えていた。
「そんな時、Dr.ラファエロが提供したプログラムはそれまでに考えられないほど精密なものでした。プロジェクトはそのプログラムを起用し、ロケットはギアナ宇宙センターから打ち上げられました。そしてその半年後、ロケットは彗星に到達、レーザーによる破砕は成功、砕かれた彗星はその後流星群となって、地球からも目視されました」
流星群の画像は美しいもので、しばし目を奪われた。
「問題は………」
ややあってからエミリは続けた。
「誘導システムのプログラムにありました」
「そのDr.ラファエロの作ったプログラムが今回のプログラムαってわけ?」
デレクが聞いた。
「いえ、実はその当時、プログラムは自分が作ったものではないとDr.ラファエロが宇宙局長官クラークに話しているのを耳にしたものがいました。作ったのはDr.ラファエロが面倒を見ていた英才教育プロジェクトに参加していた九歳の少年だと、彼は言ったのです」
「待て待て待て待て、またしても天才現る? 今度は九歳って? マジかよ?」
デレクが茶化す。
にほんブログ村
いつもありがとうございます