落ち着いた声でルカが聞き返した。
「何バカなこと言ってんだよ、ルカ! お前がDr.Cとかなれるわきゃないだろ? 大体どんなやつだかわかんねーのに、そのDr.Cってどんなやつだよ? 写真出してみろよ! 第一、プログラムってそいつがぶっ壊したんじゃねーのかよ?」
デレクは矢継ぎ早に喚き散らした。
「写真などない。だから宇宙局が必至で隠していて、どんなやつだか誰もわかんねーんだ、デレク、お前の言う通り。それに今回のプログラムαは、数か月前、ESAが行った小惑星の軌道修正のために打ち上げられたロケットに使用されたもので、Dr.Cが協力して新たに作られたものだ。彼は実際、使用後悪用されるのが嫌で自分で破棄するらしい。プログラムはいつでも頭の中にあるということのようだ。それが彼が破棄する前に、『カフカ』がどこからかDr.Cのプログラムが使われたことを察知し、ESAでロケット打ち上げに参加していたリッターを脅してプログラムをコピーさせた。ところが、これが当人ではないと開けないし動かないときたわけだ」
「協力したって、じゃあ、ESAの連中はDr.Cがどんな奴だか知ってるんじゃないのかよ」
「それがいつどうやってDr.CがESAにやってきて操作したか誰もわからないらしい。NASAからはDr.リワーノフと数名の科学者がやって来たが、そのうちの誰かがDr.Cだったのではないかと噂が流れたに過ぎない」
あくまでもくってかかるデレクにラコストはフンと鼻で笑う。
「けどさ、英才教育プロジェクトに参加していた 子供科学者連中とかさ、そいつのこと知ってるんじゃないのか? その連中も隔離されたわけ?」
「事件があった頃は確かに厳重にガードしていたみたいだけど、もともと子供たちを集めた時点で、どこの誰だか互いに知らなかったし、正式な名前とかじゃなく、ニックネームでしか呼んでなかった」
そう答えたルカに、デレクは不思議そうな顔を向けた。
「え、何でルカ、そんなこと知ってんの?」
ルカの代わりに答えたのはラコストだった。
「ルカも一時期そのプロジェクトに誘われて参加していた」
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