「俺は父親の友人からその人の息子がそこにいるからって、勧められて後から入った。その子とはお互いよく知っているし、その子といつもよくケンカしているやつとはもともと知り合いみたいだった」
「じゃあ、今もそいつらって隔離されたりしてるわけ?」
「いや、そんなことはないよ。多分科学者とかになってるだろうし、NASA関連にいる人もいるんじゃないかな。ただ、今回のような事件が起こった場合は、宇宙局も彼らの身の安全は保証してくれてると思うが」
「Dr.Cがどいつなのか、お前でもわからないのか? まさか、お前がDr.Cとかじゃ……」
ルカはデレクの言葉に笑う。
「残念ながら違う。俺はそのプロジェクトが解散した後、つまらないから近所の学校に入ったし、でも今考えても誰もそんなすごいやつとか思えないんだよな。子供の頃のことだし」
「IQ280とも300ともいわれてDr.Cの噂だけが独り歩きしている感じです。まあ、敵がこんな手段を用いてきたのには、おそらくシステムを売り渡す取引が切羽詰まっているのだろうと察せられます。Dr.Cという存在はとにかく厳重に隔離されているんです。もうとっくに子供ではないですけどね」
エミリが珍しく感情のこもった声でそう言った。
「子供であろうがなかろうが、そのプログラムにせよ、そんなものを簡単に作ってしまう当人にせよ、どこの国であろうが組織であろうが断じて渡すわけにはいかん」
ラコストが苦々しげに語気を強めて拳を握る。
あわよくばDr.Cを相手に渡すと見せて、『カフカ』をはじめそのバックにいる連中を一網打尽にする、エミリはその計画について説明した。
特に今回は各機関が追っているがなかなか尻尾を捕まえることのできなかったジブリールの名が挙がっている。
「一筋縄では根絶やしになどできん奴らだ。まあ、どうせまた別の組織が湧いて出るのは必須だがな」
むしろDr.Cを利用してでも、このテロリストを捕獲し、ついでにオーフェルベックも再び檻の中に戻すというのが今回のラコストの思惑だった。
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