その時、思いきりよくドアが開いて、今年入ったばかりのギィが飛び込んで来た。
「ラコスト部長! たった今バスチーユ広場の北で爆破騒ぎがありました!!」
「何だと?!」
「幸い、周りに人影はなく、被害はなかった模様ですが…。その件で部長、総局長がお呼びです」
「こっちがなかなか返事をしないから、やつら業を煮やして動き出したか。ちょっと待っていてくれ」
ラコストは足取りも重く部屋を出て行った。
「ラコストのやつ相当参ってるな」
デレクがラコストの背中に憐憫の視線を向けた。
「NASAと『カフカ』との板ばさみだから、心中察するにあまりあるな」
十五分程するとラコストが戻って来た。
「やつらは総局長直々に動画を送りつけて来た。さっきの爆破は小手調べだと。猶予は二日とかぬかしている!」
ラコストはその動画を再生させた。
バスチーユ広場が爆破された様子が流れ、最後に男の声で猶予は二日だ、と言ったところで画面が途切れた。
「だからって、ルカにDr.Cになれってのは納得いかねえ」
デレクはラコストを睨みつけながら言った。
「ほかに選択肢はない」
「わかったよ! だったら、その役、この俺がやってやらあ!」
ルカもラコストもデレクを見た。
だがすぐにラコストはため息をついて頭を横に振った。
「静かに聞け! お前と違ってルカはいかにもエリート然として、科学者にも見える。それに潜入捜査が初めてというわけではない」
言われたデレクは言葉に詰まる。
「お前とは違うんだ。ここが」
ルカは自分の頭を指して苦笑する。
「ルカ!」
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