Born to be my baby-デレクとルカ19

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「騒々しいやつだな、少し頭を冷やせ!この仕事は常に冷静な判断と精神力を必要とする。ただマシンガンをぶっぱなせばいいわけではない。目的は『カフカ』を徹底的に根絶やしにすることだ。万が一失敗したら、そのうち死体を二つ探す事になるだけだ。ケインはさっきも言ったように、やつらには詳しい。第一、お前とルカのコンビはやつらにも知れ渡っているかも知れん。ルカにはあくまでもDr.Cになり切ってもらわねばならんのだ」
 デレクはむっとしたが、何も言い返せない。
 ケインは、スクリーンに並ぶ『カフカ』のメンバーについて詳細を語った。
「主要メンバーは現在三名、もう一人いたが、昨年死亡したらしい。決まったアジトは持たず、ドイツを中心にわかっている限り十人ほどが動いています。まず、ハインツ・ギーツェン、三十八歳。ベルリン生まれ、アメリカで育ち、ハーバード卒、金髪碧眼、電子工学に精通し、物静かだが足音も立てずに近づいて心臓にナイフを突き立てるようなタイプだ。ルトガー・フォクト、三十六歳、ベルリン生まれ、金髪にヘーゼルアイ。ギーツェンとはアメリカで知り合ったらしい。傭兵上がりで体格がよく、爆弾づくりが趣味、頭に血が上りやすいタイプで、相手を捻りつぶすくらいは朝飯前だ。マルガレーテ・ルンゲ、二十七歳。ストレートの長いブルネット、目はブラウン。ボンの裕福な家に生まれた。B大学を出て、物理学の博士号も持っている。一年程前、航空宇宙研究所のスペース・アカデミーに入った。蠱惑的な美貌で人を惹きつけるが、にっこり笑って平然と人を殺す。リッターを殺したのはこの女だ。その後の逃走経路は不明。連邦警察といい各機関といい全く揃いも揃ってバカにされたものだ」
 ケインは耳障りのいい声で簡潔明瞭に説明した。
「言っておくがデレク、とびきりの美人だと思って、誑かされないようにしろ。ズボンでも脱いだが最後、本当の極楽に連れてってくれるからな」
「ひどいですよ! 部長、冗談じゃない!」
 デレクの抗議は無視されて、次にスクリーンに映し出されたのは、ギーツェンとオーフェルベックだった。
「ギーツェンを追っていて、フランクフルト、レーマー広場で、空港の爆破事件の数日前に撮ったものです。残念ながらこの時はまだカフカの行動を把握しきれていなかった」
 淡々とケインは語った。
 パリ警視庁もいざという時のためにコマンド対策部隊には待機させているし、猶予とされた二日間の間に、ドイツ連邦警察から来た二人の捜査官クラッセンとユンガー、ラコストのユニット、ルカ、デレク、エミリとラコストの四人は、ケインの情報をもとにカフカの動きを予測した策を練った。


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