翌日には『カフカ』から最後の連絡が入るはずだ。
デレクとルカ、ケインは休息をとっておけとラコストに言われてようやく本部を出た。
積もる話は作戦成功の後でと、ケインはルカに告げて、宿にしているという安ホテルへと去った。
「とにかく腹ごしらえだ」
デレクは先に帰したルカの部屋に、ビールやピザを買い込んでやってきた。
「すかしやがって! どこがアメリカ人だ!」
開口一番、デレクは言い放つ。
「ケインのことか? まったくだ。冷静沈着、とてもお前と同じアメリカ人とは思えないな」
「お前だってアメリカ生まれのアメリカ育ちだろうが。フン、お前にしちゃ、やけに馴れ合ってるじゃないか」
デレクはガツガツとピザを平らげ、ビールをあおる。
「大学で同じ研究室にいたんだ。まさか彼もCIRUに入るとは思わなかった。今じゃすご腕のスナイパーさ」
「フン!」
デレクはとにかく面白くない。
「ハ! あのケインってやつこそDr.Cの身代わりでも何でもやりゃいいじゃんかよ!」
「潜入してるのにできるわけないだろ。まあ、別人のような変装ぶりみたいだが」
「へっ! どうせ俺は変装したってホームレスが関の山さ」
「おい、飲みすぎるなよ」
次のビールを開けたデレクをルカがたしなめる。
「わかってるよ」
面白くなさそうにデレクは言った。
しばらくはデレクがつけたテレビに顔を向けていた二人だが、互いに翌日のことに頭が占領され、画面で繰り広げられる映画の内容は流れているだけだ。
そのうち我慢の限界を超えたらしいデレクの指がルカの髪をいじり始め、デレクはルカに顔を向けた。
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