Born to be my baby-デレクとルカ34

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 一瞬躊躇したルカだが、差し出された手を握る。
「私はフォルチコフと申します。こちらはDr.フォックスでしたね」
 ケインも冷ややかな眼差しをフォルチコフに向けながら手を握った。
「ミーティングがございますので、どうぞこちらへ」
 フォルチコフは二人の前に立って歩き、階段を上がり始めた。
 二人はフォルチコフに従った。
 ルカは緊張した面持ちで階段を上がりながら、さっきデレクを通じて宇宙局から伝えられたらしい、『あなたの名前を言ってください』というフレーズが頭の中を占めていた。
 『あなたの名前を言ってください』
 そのフレーズを聞いたとき、また既視感のようなものを覚えたのだ。
 どこかで聞いたことがある。
 どこだ?
 いつ?
 何だったんだろう?
 フォルチコフは、廊下を少し歩き、一つの部屋のドアを開けた。
 吹き抜けになっている廊下からは、階下のほぼホール中を眺めることができ、二人はひしめく人々を見下ろした。
 知らずルカはデレクの姿を探したが、見つけられなかった。
 二人が足を踏み入れたのは、豪奢な十六世紀調の家具調度が置かれた一部屋だった。
 壁には古い絵が何枚も飾られ、天井にも天使などが描かれていた。
 すると目の前の大きなアームチェアにドッカと座った男が、二人に鋭い視線を向けた。
 ブロンドの髭、年齢のわかりにくいわし鼻の男。
 セバスチャン・オーフェルベック!
 対策室のモニターに大写しされた顔をルカはしっかり覚えていた。
 やはりこの男が絡んでいたのだ。
 傍らには二人の男が控えていた。


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