ルカは頭の中をそんな考えで一杯にしたが、あくまでも表面上はおくびにも出さなかった。
「あの……」
ルカはおずおずと口を開いた。
「僕のプログラムはどちらに?」
「ああ、すまないね、これから案内する」
オーフェルベックはギーツェンと目を合わせて頷いた。
「ゆっくり休んでいただきたいのはやまやまだが、何分、時間を無駄にはできないのでね」
ギーツェンはルカとケインを促して立ち上がらせた。
「案内する前に、Dr.C、それにDr.フォックス、GPSを渡してほしいですね。CIRUの奴らあれほど言ったのに、Dr.Cの命はいらないってことか?」
ルカはドキリとした。
「Dr.C、GPSを…」
ケインが言った。
ルカはベルトからGPSを取り出した。
ギーツェンはケインからGPSを受け取ると、「イヤホンとカメラもいいですか?」とにこりともせずに言った。
無論わかっていたことだが、これで追跡は不可能になる。
フォクトはごつい体をかがめて、二人の身体を探知機で調べてギーツェンにうなずいた。
「それではご案内しましょう」
ギーツェンはドアを開けて言った。
ギーツェンを先頭に、ルカとケイン、その後ろをオーフェルベック、フォクトが最後に部屋を出てドアを閉めた。
一行は先ほど上がってきた階段とは逆の方向へ向かっていた。
「ちょっと待ちなさいよ、クリス!」
唐突に後ろから女の声がした。
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