二人は男たちに挟まれて廊下を右に曲がり、少し行くとエレヴェーターが見えた。
二人と男たちがエレベーターに乗り込むと、箱は上がり始めた。
上?
エレベーターは五階で止まりドアが開くと、少し足早にすぐ前の階段を上がり、ギーツェンがドアを開けると屋上に出た。
冷たい風が一気に吹き付ける。
ヘリ!?
五人が屋上に現れるなり、ヘリコプターのエンジンがかかり、プロペラが回り始めた。
ルカとケインは男たちに押し込まれるようにしてヘリコプターに乗せられ、最後にフォクトが乗るなり、ヘリコプターは舞い上がった。
運転している男は、フランス語をしゃべるラテン系の小男だった。
「リヨン空港でしたね」
プロペラの音に負けじと男が怒鳴った。
リヨン空港?
そこからまたどこかへ飛ぶわけか。
ルカはヘリコプターの高度が上がっていくにつれて、心の中は急速に冷えていくのを感じていた。
おそらく本部ではヘリの行方を探し出してくれるだろうが。
デレク!
目を閉じたルカは心の奥でデレクを呼んだ。
「ヘリはリヨン方面に向かっています!」
「Copy!」
ルカとケインのGPSは役に立たなくなったが、衛星を使ってド・コリニー邸から飛び立ったヘリコプターの位置を確認したエミリーの指示のもと、デレクは用意してあったBMBを駆い、必死でヘリコプターを追っていた。
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