昨日も、フランクフルト空港の駐車場で車が爆発する事件が起きたばかりだ。
犠牲者も出た。
ついその前日にはボンの警察からリッターの事件で捜査依頼がきていたという。
年が変わったところで何も変わることはないだろう。
ルカはそんな後ろ向きな思いを振り払うように、雪を蹴った。
ルカはそんな思いを振り払うように、雪を蹴った。
一気に滑降する。
一人で頭を冷やしたい時は、彼にとってスキーが最適だった。
ところが、途中で「おーい! 待ってくれよ!」という声が耳に入ってくる。
ルカは仕方なくスキーを止めた。
声のした方を見ると、それとすぐわかる超派手なウエアに身を包んだ男がブロンドの頭を下に向けて引っ繰り返っていた。
「いったいお前はそこで何やってるんだ?」
一人で頭を冷やそうとルカは思っていたのだ。
しかしお荷物がくっついてきた。
スキーに行くとポロッと口を滑らせたばかりに、デレクがすかさず、「俺も行く!」と、勝手に飛行機もホテルも取ってしまった。
「何がスキーなら任せろだ! そのザマは何だ!」
「昔はうまかったんだけどな」
デレクは下からルカを見上げてニヤリ。
「とぼけるな! やったこともないくせに、こんなところを滑ろうなんて! 足でも折って仕事にさしつかえたら、どうするんだ! 大体、スキーくらいこなせないで、よくCIRGに入れたものだ! 図々しいにも程がある!」
「やっぱ、ボードの方が性に合ってんだよ、ちょっと助けてくれよ! 起き上がれねんだってば!」
能天気な顔を見ていると、気分がよくない理由の一つが瞬時によみがえり、ルカはさらに苛立った。
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