プロローグ
二月、学会に出席するアレクセイやマイケルと一緒にミュンヘンにやってきたロジァは、そこでハンス・ゴルトベルガーと再会した。
言わずと知れたドイツ自動車業界を代表するG社社長の御曹司、現在取締役、次期CEOである。
ちょうどアレクセイはハンス主催のパーティに呼ばれていた。
それもアレクセイの二十七歳のバースデイパーティとあらば出ないわけにはいかない。
しかし仕事としてマイケルとともに一緒についてきたものの、うるさいクソ親父から離れて羽を伸ばせるとふんでいたところ、ミュンヘンのホテルに落ち着いてから、アレクセイにそのパーティの話を聞かされたロジァは面白くなかった。
ハンスがアレクセイの相手の一人であることを知っていたからだ。
以前会ったこともある。
もっともハンスの方はアレクセイとロジァの関係は知らなかったのだが。
しかも、このバイエリッシャー・ホテルはそのハンスが手配した、やたら高級感あふれるホテルでしかも部屋が最高級スイートであることも、昼過ぎに起きたらすぐ暗くなってしまったこともロジァは気に食わない。
イラついて街を適当にブラついていたロジァが夕方ホテルに戻ってくると、アレクセイはイブニングジャケットを用意してパーティに行く準備をしていた。
「そろそろ出るぞ。お前もだ」
「は?! んな、金持ちどものチャラチャラしたパーティ、行けっかよ!」
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