しかも、そこには険しい顔をした三人が立っている。
眉を顰めながらロジァはむっくり起き上がった。
「な……んだよ……せっかく寝ようと……」
「バカいうな!! ホテルに戻るぞ!!」
アレクセイは怒鳴る。
「俺は明日の朝イチでニューヨークに戻る」
ロジァは言い張った。
「だったら、一旦ホテルに戻って、朝出たらいいだろう。俺はまだ荷物もまとめていない」
「あんたは、ゆっくりしてくりゃいいだろ? 俺ぁ、ガキじゃねー。あんたのお守りはいらねーよ。心配しなくても、親父にチクって、あんたのクビを危なくしたりはしねぇし」
途端、アレクセイのスパンクが飛んだ。
「ってー!! 何すんだよっ!!」
「お前がイジばっか張ってるからだ」
「何がだよ?! 厄介な上司の息子が邪魔してたんで、あんた、本命の恋人にも会えなかったんだろ? 俺はそこまで野暮じゃねぇよ!」
アレクセイは益々怒る。
「お前、よくそんなことが言えるぜ! とにかくさっさと来い!」
アレクセイはロジァを引っ張り起こし、ロジァの腕を掴んだまま、彼のコートを持って歩きだした。
ハンスとフランツはそれまで黙って成り行きを窺っていたが、フランツはロジァの荷物を持って後に続いた。
「離せよ!」
ロジァはまだ抵抗していたが、アレクセイは何も言わない代わりに腕を離そうとしない。
結局、ロジァは三人に連行され、ハンスの車に乗せられた。
「お前、本当、バッカじゃねーの? ってか、携帯電源くらい入れとけ!」
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