ハンスが車を出すと、フランツが口を切った。
「何がバカだ! 携帯なんかウゼえンだよ!」
仏頂面のままロジァはフランツに食って掛かる。
「俺の言った意味、まだ、わからねーのか?」
「だから、何だってんだよっ!!」
「お前のことじゃねーか! エメラルド持ってんの!!」
「ふざけんな!! 俺はそんなもん……」
言い掛けたロジァの目の前にフランツの指先。
ロジァはようやくフランツが何を言おうとしているかに気付く。
「てめ…何を…!! つまり、ありゃ、デタラメか?!」
「お前、いい加減にしろよな?」
ロジァの言葉に今まで黙っていたアレクセイが口を挟んだ。
「何がだよ? 要は、何のかの言いながら、あんたはそいつと遊びたかっただけなんだろ? そいつとは、前っから、ニューヨークでもだったよな? 俺は別に邪魔する気はない。そんなに俺が心配なら、今夜はフランツのホテルにでも行くさ」
ロジァは何が何でも我を通すつもりらしい。
「そいつは名案だ!! 積もる話もあることだし、そうしよーぜ!」
フランツも同調する。
「冗談じゃない! そんなこと誰がさせるか!!」
アレクセイは今度はフランツに怒鳴りつける。
「車は返上して、あんたにやるぜ」
フランツはニヤニヤ笑う。
「つまり、フランツ、ひょっとして、君は、そのエメラルドの坊やが好きなわけか?」
三人のやりとりを聞いていたハンスが割って入る。
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