アレクセイが静かな声で尋ねた。
ロジァは顔を上げる。
「納得も何も、だから言ってるだろ? 自分の身くらい、自分で何とかする。あんたは好きにすりゃいいんだって」
アレクセイは溜め息をつく。
「結局、俺がそういうことでしかお前を見てないってことは信用しても、お前は俺の本命だ、なんて言っても信じちゃくれないってことか?」
それを聞くと、ロジァはアレクセイの視線を外し、所在なげに手を組み直す。
「俺は……」
「お前が俺の本命で、何がデタラメなんだ?」
言い掛けたロジァの言葉を遮り、アレクセイはきつい口調で尋ねる。
「だから、俺と遊んでくれてるだけで、俺が傍にいるから、あんた、ちゃんとした恋人、おおっぴらにもできねーでいるって……俺のことなんか、もう放っとけよ!!」
ムキになって喚き散らすロジァの目から、涙が絨毯の上に落ちる。
ロジァは精一杯意地を通そうとする。
アレクセイはそんなロジァの傍に立ち、その頭を抱き締める。
「俺はな……ロジァ……スターリングに知れて、別れさせられるんじゃないかって、ビクビクもんなんだ。本当は、お前が特別な存在だってのを理由にして大っぴらにお前を連れ廻してる。第一ハンスは昔からの友達で、ちゃんと会ったのも三年ぶりなんだぞ」
アレクセイが頭の上でふうとまた大きく息を吐くのをロジァは感じた。
「だが、とにかく俺が悪かったよ。俺にはお前が本気で本命、他にいやしないんだ。少しは信じてくれよ」
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