そうすると約三年ぶりということになる。
その結婚もどうやらつい先月あたり、終止符を打ったというのだが。
「ブリュンヒルデは?」
「もちろん来てるよ。お前に会いたがってる。いや、俺たちは険悪な離婚じゃなかったからな。子供たちともしょっちゅう行き来はしてるし、彼女とも友人に戻っただけだから」
「そうなのか?」
ハンスとともについ最近までその妻だったブリュンヒルデとは昔からの友人で、二人の結婚式に仕事の合間を縫って馳せ参じた時はこれ以上なく祝福し、二人の子供たちが誕生した折には、その都度お祝いを送っていたアレクセイにとってハンスからの離婚の知らせは信じられないものだった。
幸せいっぱいの美しい花嫁の姿は未だ目に焼き付いているし、二人目が生まれてからまだ一年ほどしか経っていないはずだ。
「確か君は、アレクセイの同僚のロジァだったね。よく来てくれた」
歓迎の意を表してもロジァにはそっぽを向かれたままだったが、ハンスはそう悪く思うでもなさそうに二人を中へと誘った。
「他の同僚は一緒じゃないのか?」
ハンスはアレクセイに向き直る。
「マイケルはフランクフルトでまた学会さ」
「ケンは今回一緒じゃなかったんだ? また会いたいと伝えておいてくれ」
「わかった」
大ホールにはハンスに招待された昔からの遊び仲間やアレクセイと最近噂のあった女性たちまで顔を揃えていた。
女優、スーパーモデル、貴族の有閑マダムなど各界のセレブに混じってフランツ・シュタウヘンまで顔を見せている。
ハンスはあとで趣向を凝らした新車の発表をするというのだが、アレクセイは嫌な予感がした。
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