振られるも振られないも、俺達はそんなんじゃねーんだ!
コマンドのメンバーとはここ一年程何とか無事に過ごしてきた。
とにかく忙しかった。
コマンドの仕事以外に、金星探索体『ヴィーナス』を主体としたプロジェクトにロジァも組み込まれたからである。
あのクソオヤジ!!
ロジァは自分の生物学上の父親の顔を思い浮かべて悪態をつく。
ただでさえ無理遣りコマンドに放りこまれたのだ。
物心つくかつかないかに、ロジァは世界各国から集められた子供たちと一緒に、宇宙局宇宙開発研究所の英才教育プロジェクトに入れられていたことがあった。
だが研究所で爆破事件があったことで、プロジェクトが終了した後、九歳の時に研究所を飛び出して以来、父親の言いなりになんかなるものかと決意していた。
カテリーナはそのプロジェクトからのつきあいで、ロジァのことは裏も表もよく知っていていつも心配してくれるのだが、ロジァにとっては煩わしいばかりで、逆に『ヘル・ストリート』の前をうろついたりする彼女を心配しなければならなかった。
コマンドもそのうち辞めてやる、そう思っていた。
だがアレクセイのおかげで、何となくその気がそらされているのも事実だ。
それが自分でも気に入らない。
ロジァは結局コマンドに入ったため、スターリングが不請不請許していたハイスクールもやめざるを得なかった。
一つの息抜きの場所がなくなった彼にとって、『ブラック』だけが唯一の彼の居場所、であるはずだった。
『ブラック』、その数何十人、声をかければ何百人かが集るという少年達の組織である。
バイクや車で徒党を組み、街を走り回る。
警察も彼らには十分目を付けていたが、どちらかというと街のダニといわれるギャング等に対抗してむしろギャングを叩きのめしたりする彼らを、二十四時間事件が横行するニューヨークの警察としては見てみぬふりをすることも少なくなかった。
といって大きくなりすぎた『ブラック』を潰すことを忘れたわけではなかった。
ロジァはその『ブラック』のリーダーであり、ポールや亡くなったリコはそのメンバーだった。
あれから、リコが死んでからってもの、あのクソヤローは、何かというと俺に付きまといやがって!!
今度はにやけた顔でこそっと声をかけてきたアレクセイを思い浮かべて舌打ちする。
あの時、ここで飲んで騒いでた時も、店まで現れやがるし。ポールのやつ、俺が暴れてたもんだから、あのヤローに俺を押しつけやがった―――。
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