「…まあ、ロジァのことをあれこれ言ったのは、半分はさっきの話の…親が絡むんだよ、子供には。しかも見つかったら犯罪だぞ! 面倒だろ? うちの息子をどうしてくれるんだ、なんてさ。しかも上司の息子だぜ。軽いラブアフェアを楽しみたいだけなら、何もそんな危ない橋を渡らなくてもいいだろ?」
「まあな、しかしな…お前は知らないだろうが、ロジァのことではな…いろいろとスターリングも苦労してるんだ」
神妙そうな表情になったアレクセイを見て、ケンは言った。
「知ってる。ちまたじゃ、『ブラック』ってグループのリーダーだろ?」
今度はアレクセイが驚いた。
「何で知ってる?」
「そりゃ、お前、俺の親父はハイスクールの校長だったんだ。いろんな噂が耳に入る。しかし、始めはあの噂の主とあのコマンドのボスが同一人物とは思わなかったんだ。けど、結構な怪我してくるし……やっぱりってさ」
「一度あいつを迎えにいって俺のカウンタックを潰されたんだ」
「へえ? 本当か?」
面白そうにケンがソファから身を乗り出す。
「面白がってるな。一応、俺の熱意が通じて、ロジァが戻ってくれてほっとしてる」
「それでロジァと親しくなったわけか」
「いや、本当言って親しいかどうか…な。あいつの心の中は、未だもって分からない…」
ロジァといると飽きない。
ロジァは他の人間たちのように彼をちやほやしたり、褒めそやしたり、うっとりしたりしない代わりに、下手をすると徹底的に誹り、バカ呼ばわりし、悪態をつく。
そのうちアレクセイも黙ってはいられなくなり、最後には口論になる。
しかし、これが恋愛か、というと、アレクセイははっきり頷くことができないのである。
ロジァを愛しいと思ったのも確かだし、ロジァといると楽しい、知らず何かにつけて、ロジァを誘おうと思う。
不承不承ついてくるロジァも、キャンプに行けば、川の中だろうが、山の中だろうが燥ぐし、アーニャと戯れる。
博物館でも案内させれば、さも偉そうに一生懸命説明し始める。
笑顔の方が可愛いなどと言おうものなら、わざと一日中仏頂面をしてみせる。
そんな天の邪鬼なところがまた可愛い。
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