「いつぞや局内に侵入した小型ミサイルを爆破するまでの所要時間を覚えてますか? アレクセイ」
いきなり深い緑の目がアレクセイを覗き込む。
「は? ……確か、8分少々だったかと……」
嫌な予感。
「そう、あなたがボックスに足を踏み入れて、無駄話している間にミサイルはデータエリアに到達していたということですね」
アレクセイが何か言う前に、彼より一回り小さめの少年司令官の姿はドアから消えた。
「これだ!! やっぱり可愛くねー!! 誰か何とかしてくれ! あのクソガキ!!」
「ボスの信頼を勝ち得るには、道程はまだまだ長いねー」
地団駄踏むアレクセイを振り返り、ケンが言った。
同年輩とは思えない東洋系の可愛い顔にはからかいの笑みが浮かんでいる。
「…ったく、ちょっとあいつに近づいたと思ったのにな…」
ポツリともらした彼の独り言は、あいにくケンにも届かなかった。
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