これってのは、肉親、兄弟に対するような気持ちなのかも知れない、などと思ったこともある。
実際ロジァはどうなのだ? 兄貴と遊んでいるくらいにしか思っていないのなら、恋愛などとは程遠い。
シャトーブリアン夫人に恋をしたのは、十八くらいだった。
こちらとしては結構大人びてもいたし、一人前のつもりだった。
だが考えてみれば、実際はまだ目先のことすらわかっていないような、ガキだった。
そんな俺に人生を託すことなどできる筈もなかっただろう。
ブルースとの時は、彼に頼りきっていた。
自分はどうしようもないやっぱりガキだったのだ。
俺も、しようもないガキだ、とロジァを見ているだけなのかも知れない。
愛しいガキを、恋愛対象として愛していると勘違いして、十六の子供を縛っていいわけがない。
そうだ、俺は心をたくせる相手ではないんだろうから。
できるのはせいぜい、お前を慰めてやることくらいだ。
「そうすると、ケン、わかったぞ」
いい加減二人とも酔っていた。
「何がだ?」
「お互い身寄りもなく淋しい境遇でよく似ている」
「似て非なるものがあると思うぜ、俺とお前じゃ」
「あのな…しかしこいつは決定的だ。俺とお前は今は恋人がいない」「それは確かだ」
徐々ににじり寄ってくるアレクセイに、ケンはソファの上で後ずさる。
「考えても見ろ、お互い子供じゃないし」
「そりゃそうだ」
「だったら答えは一つだろ?」
「何だ?」
「俺とお前が恋人同士になればいい」
「冗談じゃない」
ケンは即答した。
「何でだ? 俺が嫌いか?」
「そういう問題じゃない。俺は世界中に敵を作るのはごめんだ」
「何でそうなる?」
「お前に惚れてるやつは世界中にいるだろうからさ」
「何、バカなこと言ってる!! そんなのキスしてみなけりゃわからないさ」
アレクセイは笑いながら、ケンをソファに押し倒してキスする。
ケンも酔っているから拒めないでいる。
そうこうしているうちに、酔っ払い二人はそのまま朝まで眠ってしまった。
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