春の夢3

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    ACT 1
 
 
 ニューヨーク、アッパーイーストサイドの一角、広い敷地内に、周囲を緑と塀で囲まれた白い外装の建造物がある。
宇宙開発研究所である。
 地上三階建てのこの建物は、実はハイテクを駆使したセキュリティシステムに守られ、地下五階を有するNASA宇宙局直属の研究所だ。
 ワシントンにある本部の宇宙局長官が研究所長を兼ねている。
 この建物は五つのゲイトを持ち、ゲイトはそれぞれ、E(EAST)エリア、W(WEST)エリア、S(SOUTH)エリア、N(NORTH)エリア、そしてC(CENTER)エリアに通じており、それぞれのエリアは地下二階までを有している。
 さらにひとつひとつのエリアはAからFの小さなエリアに通づる通路に別れ、そのセクションごとに1から20地点までのドアで区切られている。
 エリアごとにあらゆるプロジェクトが組まれ、宇宙開発、ロケット開発等に関する研究が進められている。
特にCエリアには重要なプロジェクトを置いているため、厳重な警戒体制を敷かれている。
Eエリアには事務局が置かれ、Cエリアには、最新器機が完備された医療施設があり、医学プロジェクトもそこに置かれている。
 中心に局長室があり、そこから地下に通づるゲイトがある。
 地下には、データバンクエリア、システムエリアがあり、そしてもうひとつここにある宇宙局長官直属の組織コマンドが、彼らのオフィスである。
 様々な訓練を受けた科学者六人で構成されているとはいえ、このコマンドは一種物々しい響きを持つその名から連想させるイメージからはほど遠く、宇宙開発プロジェクトの総合管理をすると同時に、プロジェクトそのものにも勿論各々が参加しつつ、所内の、或は対外的な学術的なトラブルにも積極的に対処していくという、簡単に言えば所謂何でも屋的なセクションなのである。
 仕事の内容といえば、実にくだらないと思われるような科学者同士の言い争いの仲裁や通風孔に巣をかけた鳩の移動などというものから、CIAに手を貸して、産業技術研究センターから盗まれた高温超伝導体のデータを取り戻すというようなスパイまがいの仕事まで多岐にわたる。

 


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