春の夢34

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    ACT 4
 
 
 週末、アレクセイがハンスのGチームに加わって、サーキットにいたことは宇宙局の誰も知らなかった。
 ハンスはアレクセイがその気になってくれたことを喜んでいたが、例のエンジンを彼が使いたいと言い出したことを少々胡散臭く感じていた。
 ただ、何度かテストを繰り返した限りでは、問題がないように思われた。
 予選初日になってから、ケンは、アレクセイがGPに参加していることを、ネットで初めて知った。
「今日休み取ってたと思ったら、何…考えてんだ? あいつ…」
 最近どうもおかしいと思っていた。
つまり局長の命を無視したわけである。
「だから、即、クビってわけじゃないだろうけど…どうも、やることがヒネクレてないか?」
 彼はどうも気になった。
 そしてそれが、ひょっとして自分の言ったことが発端になっている気がしてならなかった。
 ケンは考えたあげく携帯で電話をかけてみた。
「宇宙開発研究所の者ですが、ロジァはいますか?」
 スターリング家の電話に出たのはティムだった。
 どうやらロジァは携帯を持ち歩いていないのだ。
 おそらくGPSで居場所が突き止められるからに違いない。
 ロジァのことでアレクセイはティムに相当煙たがられているらしい、アレクセイは自分でそう言っていた。
 ロジァはいない、いつ帰って来るかも分からない、ロジァに負けず劣らずティムもつっけんどんな対応だった。
「ちょっとロジァと話してみたかったのにな」
 ケンはちゃっかり彼のベッドに乗っかっているシェパードのジョーを撫でながら呟いた。
「たまには夜の探索といくか…」
 

 


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