春の夢4

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 六ヵ月の訓練とテストの結果、最終的に選ばれた六人は、ミレイユ・デルボー、マイケル・ジョーンズが二十四歳、ケン・ロウエル、アレクセイ・リワーノフが二十三歳で、いずれも各々の分野で活躍している科学者ばかりだったが、この六人の中にはティーンエージャーが二人混じっていた。
 カテリーナ・ヴァザレッリが十六歳、そして十五歳のロジァ・スターリングである。
 しかもロジァ・スターリングは宇宙局長の息子であり、宇宙局幹部の決定とはいえ、宇宙局副長官エッシャーは、そのロジァをコマンドのボスに据えたのである。
 これが他のメンバーの反発をかっていた。
 それは主にアレクセイであるが、小憎らしいまでに冷静で完璧なボスのアラを探すのはまた一筋縄では行かなかったのだ。
 結成から約一年、何かと紆余曲折の末、今現在、スタッフの内部もとりあえずは落ち着いたように見えていた。
 宇宙航空工学やロケット工学を始め医学の分野でもその名を知られたアレクセイ・リワーノフは、十七歳の時にロシアから亡命した科学者という経歴には特異なものがあるが、西側に来てからは、F1レーサーとして、或はヨーロッパ社交界の華として、その存在は全世界に知れ渡り、今や彼がどこの国の人間だったかなどということは取り沙汰するに値しない。

  
 

 帰りがけ、駐車場で、ケンがアレクセイを捉まえて言った。
「お前、この頃、ボスをやたら引っ張り回しているが、どういうつもりなんだ?」
 アレクセイはちょっと驚いた。
「別に、お前らとだっていろいろ遊んでるじゃないか」
 ケンはすると、厳しい顔になり、
「白々しいんだよ。言っとくが、ロジァはまだ十六の子供だぜ?」
 そう言われては、アレクセイも隠すつもりはない。
「お前、そりゃ、ロジァが怒るぜ。十六なんざりっぱな大人さ。俺が国を出たのは十六だった。りっぱにラブアフェアだって楽しんだ」
「アレクセイ、誰もがお前と同じと思うのか? きさま、ガキまで手ぇ出すなよ。お前の周りには美女どもがわんさといるだろ? これだけは言っとく。ロジァはまだ坊やなんだ。お前の遊びの道具にはするな」
 ケンの忠告は結構辛辣だった。


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