東京へ行こう -ハンスとケン- 22

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    Act 3

 ケンがハンスと再会したのは、夏のモンテカルロだった。
 夏季休暇にアレクセイとロジァがハンスに誘われていたのだが、暇なら一緒に来ないかとアレクセイがケンに声をかけたのだ。
 その頃、仕事が結構ハードだった上、ちょうど精神的にもきつい時だった。
 誰とも約束があったわけではなかったし、仕事を忘れてのんびりできるかなとアレクセイの誘いに軽く返事をした。
 ハンスとはアレクセイがF1で優勝した時以来だったが、ケンを歓迎してくれた。
 ニューヨークの厳しい暑さから逃れ、穏やかなモンテカルロの夏は確かに疲れ切ったケンの心身を癒してくれるようだった。
 スーツ姿の印象があったハンスだが、白いシャツにコットンパンツ、サングラスと、なかなかのイケメンガイで現れ、モンテカルロの高台にあり、地中海やモンテカルロの街を見渡せる素晴らしいロケーションのヴィラへ、三人を招待してくれた。
 既にハンスは一週間ほどを彼の家族とともに過ごしていて、エントランスから続く広い庭では、大きなグレートデンの傍を、まるで絵画の中から飛び出した天使のような、ちょろちょろ走り回るヨハンとよちよち歩きのエミールの手を引いたブリュンヒルデが出迎えた。
 二階にはそれぞれバスルームのついたゲストルームが三つあり、そのうちの一番広い部屋をアレクセイとロジァが、一つをケンが使わせてもらうことになったのだが、どの部屋もシックで洗練され、とても居心地のいい空間だった。
 一見して四人が四人とも見事な金髪碧眼ゲルマン人な、理想的で幸せな家族としか見えないこの一家だったが、ニューヨークからの三人が来て一日ほど一緒にいただけで、やがてブリュンヒルデとその息子たちはミュンヘンへと帰って行った。


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