「サッカー、最近急激に上がってきたよね、男子サッカー」
純が通訳するまでもなく、サッカーは理解できた。
「やっぱ、アメリカってメジャーリーグとかNBAとかが国民的人気?」
享も口を挟む。
「アメリカ全体でいえば、NFL、アメリカンフットボールがダントツかな。カレッジリーグから人気あるし。それからMLB、NBA、NHLってとこかな」
「アメフトかぁ。よくわかんないんだよね、俺。NHLって?」
小首を傾げながら享は言った。
「アイスホッケーだ。そんなことも知らないのか」
代わりに純が答える。
「んなもん、みたことねんだから、知るかよ。オリンピックとかしか見ねぇし」
享は純に言い返し、またケンに向き直る。
「アメリカってF1とかどうなん?」
いきなり飛び込んできたF1というキーワードに、ケンは一瞬狼狽えた。
「F1も無論グランプリが開かれるくらいだけど、モータースポーツはアメリカ全体でいえば、インディとかのが人気あるかな」
日本に来ることになった時ハンスと話していた電話の内容が、すぐに蘇ったからだ。
自分でも昔F3に参戦したことがあるほど、ハンスはカーレースが好きで、彼が取締役を務めるドイツというより世界でも有数の自動車会社であるG社では、有能なチームスタッフを揃えてずっとF1に参戦している。
世界を転戦するF1だが、自国ドイツで開催予定のグランプリが契約を巡ってもたついているのをハンスは心配していた。
あれから、少しは進展したんだろうか。
「……セイ・リワーノフって、アメリカにいんだろ? 確か」
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