Act 6
三人が東京駅に着くと、夕方近くになっていた。
ケンが食事をおごるというので、純と千恵美は新幹線の中で携帯を見ながらどこにするかをああだこうだと言いあってきたのだが、まだ決まっていなかった。
「だって、せっかく日本に来て、やっぱ和食でしょ」
「もったいつけた店は大抵予約だろ? 居酒屋ならあると思うけど」
「うーん、ここいいかも。前に合コンで行ったことがあるけど、割と静かっぽいし」
「合コンっていつの話だよ」
「だからずっと前の話。ここ、聞いてみよ」
コンコースを歩きながら、千恵美は店に電話を入れた。
「三人です、OK? よかった。はい、倉本です、よろしくぅ」
肩の凝らない居酒屋だと千恵美から聞いて、ケンは楽しみだと言った。
「とりあえず、荷物、置いてから行こう。ちょっとホテルに寄ってもいいか?」
名古屋の土産をケンに差し上げてと真美に言われて、千恵美は和菓子でも日持ちがするういろうやえびせんべいを選んだのだが、この紙袋が結構かさばっている。
タクシーに乗り込んで、ケンが帝都ホテルを告げると千恵美が、「お部屋ってどんな感じ?」と聞いた。
「うん、ちょっと俺一人だと広すぎ。実は友達が勝手に決めてしまって」
「え、ってもしかして彼女とか? その方はご一緒じゃないんだ?」
それを聞いてケンは苦笑いする。
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