東京へ行こう -ハンスとケン- 60

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「青い目にブロンド美人の彼女ってわからないでもないが、かなりでかくね?」
 純はボソリと言った。
 黒のニット帽を被り、ラフなシャツとジーンズの上に渋いブロンズ系でまとめた皮のロングコート、カーリングブーツのその彼女は、雑誌から抜け出してきたように人間離れした美しさだ。
「バカね、純、何で彼女よ! プラチナブロンドにブルーアイの超イケメンって言えば、アレクセイ・リワーノフじゃない!」
 千恵美が声を大にして、まだ理解できていないらしい純の台詞を訂正した。
「はあ?」
「世界のイケメン特集じゃ大抵一位になってるじゃない? あのB・フランコが頼みこんで自分のミラノコレクションでランウェイ歩いてもらったって有名な話知らないの?」
「特集? ミラノ? ランウェイ? さっぱりなんだけど、アレクセイ・リワーノフって、もしか、あのチャラチャラモデルとかとよく噂流してるレーサーじゃねーよな?」
「あたりまえじゃない! そのアレクセイよ」
 二人の日本語のやり取りはケンや、続いて入ってきたブロンド人種にはわからなかったようだが、ケンは辛うじて千恵美もアレクセイ・リワーノフを知っているらしいとわかった。
「いつまで引っ付いてんだ!」
 ケンはいつまでも自分に引っ付いているアレクセイを引きはがした。
「一体……お前ら、パリじゃなかったのか?」
「ああ、何か、つまんなくなって」
 答えたのはレザージャケットの下にはTシャツとジーンズの少年だった。
 短めのブロンドに深い緑色の目をしているが、純がすぐに目が行ったのはグラインダーのブーツやTシャツのロゴだ。
「こいつが日本に行くって聞かないもんだから、来ちゃった」
 アレクセイがロジァの首に腕をまわして付け足した。


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