ケンは釘を刺した。
ハンスに任せておいたら、リムジンでも用意しかねない。
「そうだ、純、よかったら享も呼んだらいい。F1好きなら、アレクセイとかハンスとかと話したいかもしれないし」
純はケンの提案に、そうだな、と頷いた。
「本物と会ったら、あいつ、舞い上がるぞ。でも、ハンスもF1関連?」
「ああ、ゴルトベルガーって、F1のチームを持ってるから、色々話が聞けるんじゃないかって」
「待った、チーム持ってるって、まさかG社の?」
純はケンの腕を掴む。
「ああ。次期CEOって話」
「何か………ケン、段々話がアメリカからワールドワイドになってないか」
純は半分呆れた声でアレクセイやロジァと笑っているハンスを見た。
「アレクセイの友達だからな」
「ふーん。けど、そんなお偉方が、何で今頃日本に? 家族とかも一緒?」
ケンはしばし言葉を噤む。
「最近、離婚して、クリスマスは家族サービスしてたみたいだけど、今はプライベートが暇らしい」
「そうなんだ」
享にはアレクセイとは知らせず、お前の喜ぶ相手がいるから来い、と純がメールすると、何だかわからないけど、とりあえず行く、と返事が返ってきた。
「場所メールしといたから、あとから合流するって、享」
「そうか、よかった」
「純、今、お店に電話入れたら、七人OKだって」
千恵美はそう言ってからちょっと小首を傾げた。
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