「何しに行ったんだよ、んでいつまでいんの?」
「明日の午後、ハンスのジェットで帰る」
「お城って、江戸城跡に行ったの?」
千恵美が割って入った。
「お、可愛い! 誰?」
画面の向こうでマットが俄然目を輝かせる。
「ケンの従妹」とマットに答えてから、「江戸城? っつったかなー」とロジァは千恵美に言った。
「もっと早くわかってたら、一緒に名古屋城とか行けたのに」
「名古屋城? ちゃんとした城?」
「ちゃんとしたお城。ここから新幹線で一時間半くらい」
「じゃ、明日の朝、行く!」
はしゃいだ声を上げるロジァに、「十時に起きてちゃ、まず無理だ。諦めろ」とアレクセイがにべもなく言い放つ。
「うーん、朝早く起きても、午後の便じゃ、難しいね。また今度来た時に案内するよ」
千恵美に諭されて、ロジァは「ちぇ」とちょっと拗ねるが、「んじゃ、千恵美らがニューヨーク来たときは、俺が案内するからな」と偉そうに言った。
「うん、よろしくね!」
「ケンのうちは広いから、二十人くらい来ても余裕だぜ」
「え、そんな、広いの?」
「庭にヘリが降りられるくらいには広い」
「えーーーー!!」
享と千恵美が声を揃える。
「こらこら、ロジァ、誇張表現するんじゃない」
ケンが言った。
「事実じゃん」
画面の向こうからまたジョーのキュウキュウ言う声が聞こえ、鼻面が画面にアップしたと思うと、ブチッと画面が消えた。
途端、ロジァがげらげら笑い出した。
「ジョーのやつ、ケンに会いたくて画面消しちまったぜ」
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