東京へ行こう -ハンスとケン- 78

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    Act 7

 成田を離陸した時は、少し雲がかかっていた。
 いざ雲の上に来てしまうと、ケンは早くジョーに逢いたくなった。
 ニューヨークへ向かうフライトは快適だった。 
 ジェットはゴルトベルガー家所有だが、G社の仕事関連での打ち合わせや、客の接待などにもよく使うらしい。
 機内はオーダーメイドで、カウンターバーのあるリビングは会議室兼用だが、ベッドルームやバスルーム、リラクゼーションルームなどもあり、ソファはベッドにもなる。
 ゲミンゲンが食事の用意や給仕をしてくれたが、彼用の小部屋や、凄腕のパイロットが二人乗り込み、交代に休めるよう仮眠室も備え付けられていた。
 食事は日本の馴染みのレストランにオーダーしたものを温めたものだったが、贅沢なコース料理で、実際レストランにいるかのように美味だった。
 ハンスはいつものように陽気にしゃべり、ケンが考えていたようにぎくしゃくすることはなく、四人であれやこれやたわいもない会話をした。
「純のうちに行ってきたんだろ? どうだった?」
 気さくにハンスが話しかけてきた。
「別れる時、祖父や祖母だけでなく、叔父や叔母にまで泣かれたよ。家族ってあったかいもんなんだなって」
「それ、純の家族だからってだけ。どこでもそうとは限らない」
 アレクセイが口を挟む。


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