「そいつはいい! 今度もちかけてみろよ」
「何か盗まれるくらいなら構わないけど、サラやジョーが心配なんだよな。いつだったか、マットにシッター頼んだ時、夜中、通り掛かった仲間と門の前で屯してたら、怪しげな車がゆっくり通り過ぎてったみたいで」
「束になると、軍人相手でも蹴散らすぞ、やつら」
アレクセイが面白そうに言う。
「でもまあ、相手が銃とか持ってたりしたら危険だし。こっちは持ちたくなくても持たざるを得ないし」
「A級ライセンス、クリアしただろ、去年」
「そうだ、まるでFBI捜査官並みの犯罪捜査訓練プログラムなんかに参加しているチームなんて俺らだけだよな、局内じゃ」
「まあ、銃の扱いはB級でもOKじゃないか」
「ロジァとか面白がって完璧A級クリアしてたよな、いや、FBIじゃなくてどっちかってとCIAか? 俺、大学の時の友人っても、俺よか年は上だけどCIAのやつに、訓練項目がスパイ養成プログラムじゃないかとか、冗談で言われたことがある」
「ああ、リチャードだっけ? そういやCIAじゃねーの? 今日のハッキング」
「まあ、あり得ないことじゃないよな」
「ハンスのこと、好きじゃないのか、お前」
CIAの話の流れで問われてケンは一瞬口を噤んだ。
「だから何で唐突に話がそっちにいくんだ」
「そっちもこっちもないだろ。珍しくマジみたいだからさ、あいつ」
ケンは戸惑った。
「ブリュンヒルデの時はマジになるならない以前に、プロポーズしてOKもらって、あれよって感じで結婚したからな、深刻に悩むとかそういうのはなかったみたいだし」
「彼女に離婚切り出された時はショックだったって言ってたぞ」
それにマジって、お前にマジだったってわかってんだかわかってないんだか。
ケンは眉を顰める。
「とりあえず今は、彼女とは友達付き合いって折り合いつけたみたいだし、それもこれもお前と会ったからだろ? 俺が口出しすることじゃないと思っていたが、あんな意気消沈したハンスは見たことがないからな」
意気消沈? ってハンスが?
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