ただし、ケンを大切にしたいと言うハンスだが、情動に逆らうつもりはもうとうなかった。
シャワーを浴びているケンを後ろから抱きしめたハンスはまたその身体を嬲り始める。
「や……もう、ハンス……やあっ!」
ケンの方もハンスの腕に引き込まれると、甘く泣かされるばかりだ。
「……俺としては、普段冷静なケンが目いっぱい乱れてるとこもっと見たいな」
「何いって……あ、ちょ……そこ、やっ……! あっあっ…!」
「可愛い……ケン」
しばらくは恋という甘美な蜜の箱から出たくはない。
それでも時間は過ぎていくし朝は来る。
「仕事なんかあいつらに任せて、宇宙局の見学に行くとかしたいな。ダメ?」
コーヒーを前にそんなふざけた台詞を口にする大の男に、ケンはさすがにため息をついた。
「却下」
「冷たいな。夕べはあんなに可愛かったのに」
コーヒーを吹き出しそうになるのを何とか堪えたものの、ケンは赤面するのを阻止する手立てがない。
「ジョーの散歩、行ってくる」
それをごまかすようにケンは立ち上がる。
「俺も行くよ」
何だか片時も離れないといった感じで、ケンにしてみればジョーがもう一匹増えたような状況だ。
木陰には残っているが積もるほどの雪ではなかったようだ。
今日は晴れて青空が見えていた。
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