「お前、どういうつもりだ? 友達が一緒だったんだぞ」
運転席に座るとすぐエンジンをかける豪は、何も答えようとしない。
恵比寿にある豪の新しいマンションには、元気はまだ足を踏み入れたことがなかった。
仕事の便がいいということで決めたらしい部屋は、T市にある農家とはうってかわって都会的な匂いがした。
相変わらず言葉もなく、トン、と突き飛ばされたのはフローリングの真ん中辺りに敷いてあるふかふかのラグマットの上だった。
「ちょ、おい、待て…!」
元気はキレた豪の目を見て、やばい、と思う。
待てと言って待つほどの余裕があれば、エアコンのスイッチくらい入れていただろうし、考えていたようにちゃんと椅子に座らせて話を聞いてもらっていただろう。
だが、おそらくみっちゃんに聞いてやってきてあんな場面にでくわしたら、頭が沸騰したというわけか。
襲い掛かるが早いか、豪は元気の服を力任せに引き剥がす。
「豪、おい、待て、よせ……」
元気の首の辺りから胸から身体中に噛みつくばかりな荒い愛撫を繰り返したかと思えば、元気のからだをひっくり返してむき出しになった白い尻を掴み、豪は性急に己れを突き入れようとする。
「あうぅ…………っ! 痛い、痛いって、………豪」
余裕もなく侵入されようとするところは軋み、元気は汗か冷や汗かわからない状態で、少しでも痛みをやわらげようと努力する。
たがが外れた猛獣は荒れ狂う。
それでも一ヵ月ほど離れていた若い身体は、互いに飢えていたことを思い知る。
滴り落ちる汗をかまうこともなく、しばらく愉悦を貪りあった二人は、さすがにいつにない疲労感を覚え、身体を離して仰向けになった。
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