いや、考えてみればクラスにも小学校で同じクラスだったと佑人が記憶している女子生徒もいたが、全く覚えてもいないらしい。
おそらくそのことを坂本が話したところで、力にとってはきっと自分など、そんなやついたっけ、くらいな存在だろう。
ほっとしたような、淋しいような、いつもの感情の痛みが佑人を襲ってきた。
家に着くと、思わず胸のあたりを握り締めながら、音をたててきしむ古い門を潜る。
もやもやとした感情のわだかまりを残したまま、世の中は夏休みに突入した。
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