私鉄の駅に近いマクドナルドへ四人が入っていくなり、感じる視線はあまり歓迎されたものではなかった。
陣取ったテーブルは狭く、東山や啓太は当然のように鞄を隣の席に放り出している。彼らを遠巻きにして、周りにいる他校の生徒たちがこそこそ何か言い合っているようだ。
そんなことも佑人にとってはどうでもいいことだ。
向かいに座る力をさりげなく目で追う。
硬い髪は黒くて、学生服によく似合い、いろんな噂もよせつけぬほど清廉だ。
もちろん、こんな思いを決して力には悟られてはいけない。
それはよくわかっている。
近くに座る女の子のことをチラチラ見ながらくだらない話で笑っている東山と啓太をよそに、言葉も少なく、ガツガツと思い切りよく平らげていくビッグサンドは、力の手には小さく見える。
ただ――――――傍にいられれば。
自宅の門をくぐると、やっと帰ってきたとばかりに愛犬のラッキーが大きな身体を揺すりながら駆けてきた。
「ただいま」
思い切り撫でてやると、出迎えたラッキーも佑人が機嫌がよいのがわかるのか、頭をぐりぐり押しつけて甘えてくる。
「こらこら、いつまでも子供のつもりなんだから。お前、体重何キロあると思ってるんだ?」
ついに芝生の上に押し倒されて、自分を覗き込むラッキーの無垢な瞳を見つめながら、佑人は、おそらく力は覚えてもいないだろう、初めて言葉を交わした時のことを思い起こしていた。
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