ひまわり 10

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 そうだった。
 あの頃はまだ元気の父親も健在だった。
 入学してすぐに親と姉にバイクを買ってもらった優作は、やはりバイクを買ったばかりだという将清といつしかよくつるむようになり、ツーリングにも行くようになった。
 やっぱり夏休みで元気が帰省していたのを知っていて、ツーリングの途中でこの街に寄ったのだった。
 標高千メートルの温泉というのを元気から聞いて、二人で行ったんだっけ。
 あちこちにある温泉はライダーにとってはオアシスのようなものだ。
 すごい山とか雄大で近くて、空気が違くて。
 途中、サルを見つけたりして、近づきすぎるなよ、というのに、将清はどんどん近づいて携帯で写真を撮りまくっていた。
 それから野麦峠を越えて木曽へ出て………、すごく楽しかった。
 あの頃の写真は山ほどある。
 みんな将清が撮ったものだ。
 安い宿を利用することもあったが、夏は二人でキャンプだった。
「そうだな。こないだ、キャンプで事故があったけどさ、俺たちよく川原でもキャンプしてた。雨降ってもさ、あいつが大丈夫だ、なんていうと、妙にそんな気がしてさ。運が悪かったら今頃、俺たちいなかったかもな。そんなに甘いもんじゃないだろ、自然って」
 優作は将清の頼もしげな顔を思い浮かべた。
「自然はあるがままにあるんだ。だから自然っての。にしたってさ、お前たち二人、いつもセットで見てたからな、俺だけじゃなくて、ゼミの奴らも」
「セット…ってなぁ…ただトロい俺が将清に手引っ張ってもらってたってだけなんだ」
 将清が来いと言えば行ったし、やろうと言えばやった、そんな感じでずっと学生時代を過ごしてきたのだ。
「俺は、将清と行動するのが精一杯だったけど、あいつは余裕でたくさんの女の子と付き合ってた。俺にはそんな余裕なかった」
「何、将清と友達やってきたこと、後悔してるとか?」

 


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