「来て来て! そしたら一生飢えないですむ」
昨夜のカープ対ドラゴンズはドラゴンズが勝ったらしく、元気は上機嫌だ。
そして食後の珈琲がまた美味い。
「やっぱ嫁さん、いた方がいいかな」
「でも俺、まだ心の準備が…」
ポツリとこぼすと、元気がおちゃらかす。
「見合いしろって、親に言われてるんだ、実は」
家に帰りたくない理由はそれだった。
「見合い?」
「そう。明後日。うるさい親戚がいてさ。親も再三、言ってくるし。俺も彼女連れてくような甲斐性ないし」
すると、元気はふーっと息を吐く。
「散々、何だかだとぐちってた原因は、それか。そんなの簡単じゃん。気が合えば付き合えばいいし、あわなきゃなかったことにする」
「そう簡単にいくか。付き合うってことは結婚するってことだぞ。なかったことにするったって、よほどじゃなきゃ、男から断るったって…」
「お前、そしたら、断れないからって向こうが気に入ったら結婚すんの?」
元気に突っ込まれて優作は言葉に詰まる。
「いや、そういうわけじゃ…」
「気が乗らないんなら、最初からやらない方がいいんじゃね?」
「いや…だから…俺も、そろそろ分相応の平凡な生活に入ろうかと思ってさ…見合いするって…」
「言ったのか?」
元気の口調が強くなる。
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