そこで優作ははたと気づく。
「えっ? 今、何時? あ、携帯! 俺のカバン……」
きょろきょろ見回す優作に、「ああ、そこ、お前のリュックとパーカー」と言われてみると、ソファに揃えて置いてある。
「ま、この時間じゃ、どうせ一限目間に合わねーし、ゆっくり食おうぜ」
「え………」
リュックから携帯を見つけて時間を確認すると、優作はガックリと溜息をついた。
このテイタラク、何がきっちり卒業してだ。
「コーヒー、飲むだろ?」
キッチンの近くに、テーブルセットがあって、そこには湯気の立つオムレツやサラダ、パンなどが並んでいる。
将清はコーヒーサーバから熱いコーヒーをカップに注いでいた。
「ほら、冷めないうちに食えよ」
言われるまま促されて優作は将清の向かいに座る。
「……これって、まさか、お前、作ったの?」
「俺、一人暮らしだし、他に誰が作るんだよ?」
程よい硬さのオムレツは美味いし、ちぎっただけのレタスにトマトのサラダだが、ドレッシングがまた美味い。
コーヒーに口をつけてソーサーに置いた時、何か違和感を感じた。
「……何……?」
べったりと口紅がついている。
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