ひまわり 4

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 アイスティーの涼やかな香りが鼻をくすぐった。
 オーダーしなくても元気が作ってくれたそれは、優作が気に入っているオリジナルブレンドティーだ。
 もともと元気の父親がやっていたのは珈琲メインの店だったが、一時紅茶やハーブティーに拘った元気は、美味しい入れ方の講習会まで足を運び、珈琲とともに紅茶のメニューも増やしたようだ。
 この店の壁に掛かっている風景画も優作は気に入っている。
 作者である東は元気の高校の同級生で、以前この店で会って絵の話で結構盛り上がった。
「今日は将清のやつは一緒じゃないのか?」
 たった今、優作が頭に思い描いていた男の名前を元気が口にする。
 学生時代同じゼミでともに過ごしたのは元気も一緒だ。
「何で? いつもいつもあんなやつと一緒にいてたまるか」
 ついむかつき口調になってしまう。
「喧嘩か?」
 元気が優作の顔を覗き込むようにして訊く。
「だから……」
「元気、アイスオレ二つね」
 優作が何かいう前に紀子がオーダーを伝えたので、元気はカウンターの中に引っ込んだ。
 元気がそんなふうに訊くのももっともな話かもしれない。
 大学時代から雰囲気が華やかな存在だったが、人たらしなどと噂もある元気とは同じ学部で何となく馬が合い、就職してからも同じ会社の同僚よりも元気と話すことが多い。
 ああ、そう、ついでに将清もいるが。
 迷惑メールがひどくて、携帯を変えたとともに番号もメルアドも変えたことを将清に話すのを忘れたら、ある日、いきなり何で言わないんだ、という文句のメールが将清から入っていた。
 元気から聞いて知ったらしい。

 


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