ACT 4
ゴールデンウイークは家に帰らず、優作はアパートの近くにあるコンビニのバイト中心で過ごし、前からやろうと思っていた美術館巡りをした。
あらためて全く一人で行動しているのだと実感すると、四月中いつも騒がしい連中が周りにいたことを思い出して、少し寂しい気もした。
やっぱり家に帰るっていえばよかったかな。
姉からも帰ってくればいいのに、とラインがきていた。
じゃあ帰るとか言ったら、また、将清あたりにはガキだとバカにされそうだ。
あんなに頑なに拒否することもなかったようにも思うのだが、今更、また友達付き合いしてくださいとかはないだろう。
第一、誰も優作に近寄ってくるやつもいなかったし。
「ぼっち、上等じゃん」
負け惜しみで口にしてみると、よけいにひとりという事実を感じてしまう。
高校時代の同級生の中にも上京している者もたくさんいるし、何より、同じ大学に進学した連中もいるはずだ。
だが、もうずっと、同級生の枠を超えた友達付き合いをしてこなかった優作には、休みに顔を合わせようというような者もいない。
おそらくこれからもそんな感じで、人生過ぎていくんだろうと思う。
そのうち、誰かと、例えば将来結婚するような相手と巡り合うことだってあるかもしれないし。
優作はまだわずかにそんな望みも捨ててはいなかった。
まだ始まったばかりの大学生活なのだ。
「よう」
携帯が鳴ったので、ひょっとして将清かと画面を見ると、元気からだった。
back next top Novels