ひまわり 45

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 元気のギターは、まるで一平と会話をしているかのように掛け合い、時に濡れたような音を響かせ、会場を圧倒している。
 先ほどのバンドとはうって変わって、場内は聞き入っているという感じだ。
「すっげ、ギター、元気、何者?」
 唐突に上から降ってきた声に、優作が顔を上げると、隣にいつの間にか将清が立っていた。
「Since I’ve Been Loving You って、古いUKバンドの名曲。ここまでやられると、本家顔負けじゃね?」
「え……、ああ何か、意味はあんまわかんねぇけど、こう、ぐってくるよな」
「おう……、一平もあの声であの曲、ってのもありなんだな」
 ものすごく久々に話した気がしたが、元気のギターのお陰なのか、別にわだかまりもなく言葉が出てきた。
 あれ以来、優作は意地で将清たちから離れていたし、ゴールデンウイークに突入してしまったから、もう将清ともこれっきりなんだろうな、と思っていた。
 実際、あとで考えてみたら、世話をかけて泊めてもらって朝ごはんまで作ってもらって、お前らとはもう関係ないとか、ないよな、と。
 でも自分から声をかける勇気も、優作にはなかったのだ。
「おいおい、Going down slow、渋すぎねーか? いや、やっぱすげえって元気」
 将清は曲を知っているようだったが、知らなくても胸のど真ん中に直接くるようなギターの音は優作をいきなり引き込んでしまう。
 最後の曲、Brown sugar は前の二曲とはまた違い、身体が勝手に動き出すような曲で、場内は沸きに沸いた。
「やっぱすごいね、元気のギターって。絶対プロになるべきだよ」
 興奮気味に佐野が言った。

 


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