「だな。まあ、バンド組むつもりらしいけどな、あいつら」
元気たちが終わると、将清は佐野と優作を促してライブハウスを出た。
元気には終わったら外で待っているからと約束してあったようだ。
元気らの曲はよかったが、またあの音の洪水を聞かされるかと思うと、優作も早く外に出たかった。
「確かに。俺、ロックとか疎いけど、元気のギター、ただ者じゃないよな、あれ」
「鈴木とすごく呼応しているっていうか、よくあってるよね」
佐野が頷きながら言った。
「鈴木?」
優作は聞き返す。
「一平だよ、ボーカルの」
「ああ、元気の用心棒」
「く……それ、いいわ、用心棒」
優作がぼそっと言うと、将清が笑った。
やがて元気がギターを背負ってライブハウスから出てきた。
「腹減った、俺。何か食いに行こうぜ?」
「おう。あれ、一平は?」
「ああ、あいつは女と消えた」
将清が聞くと、元気はいつものことさと笑った。
「あ、マック! 俺もう一歩も動けねぇから、マックにしようぜ」
三人は苦笑しながら、よほど腹が減っていたらしい速足で入っていく元気の後に続いた。
「そうだよ、絶対バンドやった方がいいよ」
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