ひまわり 5

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「じゃあね、元気、またくるね」
「バイバーイ」
 八人の女の子の集団が出ていくと、店の中の空気がやっと落ち着いた。
 BGMのブランデンブルグ協奏曲も、何だ、流れていたのか、とようやく気が付く。
「今日、来たのか? 車? バイク?」
 元気が訊ねる。
「バス」
「バスぅ?」
 元気がちょっと呆れた顔をする。
「新宿から直行便ってのあるじゃないか。それ。始めは実家に直接行くつもりだったんだけどさ、この町行がちょうど来て、席に空きがあるって言うから」
「お前、それ衝動的って言わないか? 家の人とか待ってるんだろ? だからスーツなんか着てるのか」
 半袖のシャツだし、上着はさすがに脱いでいるが、猛暑の東京でスーツを着ることを考えれば、この街で上着を着て歩いてもさほど不快になることもない。
「バス、M市行きも出てるじゃないか。帰ろうと思えばすぐだ。しかし、何であんな山道なのに首都高並みに混んでるんだよ、しかもすげぇ細い道とかあるのにさ」
「首都高は大袈裟だろーが。夏休みか? いつまで?」
「今日から一週間」
 ほんとに元気の作るこのアイスティーは絶妙だ。
 優作は一息に飲み干した。
「いいご身分じゃないかよ」
「別に何の変哲もない毎日だ。元気みたいにフレキシビリティに生きられるのがいいよ」
 つい、いじいじとつっかかってしまう。

 


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