少しうつらうつらしてきた時に今にも落ちそうな瞼の隙間から、用心棒が元気を抱き寄せているようにみえた。
へんなの、用心棒が元気にキスしてるなんて……
優作は夢うつつに頭の中でつぶやいたが、それからの記憶は全くない。
翌日、元気も優作も寝過ごしてしまい、「もう、時間、ヤバい!」と元気が携帯を見て叫んだ。
一般教養で出席にうるさい教授の心理学だった。
コーヒーだけ飲んで大学まで走り、教授が入ってくると同時に二人は教室に駆け込んだ。
息を切らしながらノートを広げ、優作は何気なくいつもの定位置に目をやった。
隣は開いていたが将清はミドリと何か言葉を交わして笑っていた。
何だ、心配することもなかった。
ってか、俺が、心配する必要なんかないのかも。
第一俺なんか、将清の腕一つで跳ね飛ばされるくらい柔いわけで。
例え加勢してくれっつっても、まず役に立たないよな。
「あのさ、昨夜のこと、優作がショック受けてるんじゃないかって、ミドリから、フォローしておいてくれってメールあって」
今更ながらに自嘲している優作に、元気が前を向いたまま、小声で言った。
「え?」
「将清の暴挙? 何か、どうもわけがあるらしくて」
確かにいつもの将清とは人が違ったみたいになっていた。
「何があったんだ?」
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