ひまわり 55

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「いや、将清がというより、将清の向こう隣りにいたカップルの男が女に何かクスリ渡してたらしいって、芽衣が見たって」
「クスリって……」
「まあ……、いわゆるクスリ? で、一平の言うには、どうもあの店、そういう連中、つまり供給するやつとされるやつらが出入りするので知られた店だって。一平の親って二人ともでかい弁護士事務所やってて、そういう連中の案件とかも扱っているらしくて、調査しているうちにあの店とかヤバいやつらがいるってわかってきたから注意しろって一平が言われたって話」
「そうなんだ……」
 でも何で、将清があんな……
「将清がタコ殴りにしていた男、売人だろうって。一平が警察呼ぶっつったら、逃げてったろ」
 男がふらふらと逃げていくのはおぼろげに覚えていた。
「芽衣の話だと、男にクスリ渡されてた女もどこかに消えたって」
 まるでドラマか映画のような、それが身近で起きていたなんて、優作には思いもよらないことだった。
 将清もそれに気づいたから男を殴ったのか。
 だけど、何かあの時、将清は尋常じゃないって感じで、一瞬見えた目が怒りで一杯だった。
 それに、ミドリがタクシーに乗せる時は、今度はまるで何も見えてないみたいに。
 優作の頭の中で、昨夜の映像が一つ一つフラッシュバックする。
 頭の中では何か見ているのがきついシーンばかりが繰り返され、何か胸の中もモヤモヤして、授業など全く頭に入っていなかった。
 授業が終わった途端、将清が優作たちの方へ段飛ばしで上がってきた。
「優作、ゴメン、昨夜、俺、お前に………」
「ああ、平気。それよりお前こそ、大丈夫か? 怪我無かった?」
「俺は何も……」

 


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