「だったらよかった。あ、そだ、元気、昨夜泊めてもらったし、今朝、何も食べてないし、腹減ったから何か買ってくる。何がいい?」
優作は、まだ何か言いかけた将清を遮って元気を見た。
「お、じゃあ、サンドイッチとコーヒー、頼むわ」
「わかった!」
そのまま将清の顔を避けるようにして、優作はカフェテリアへ向かった。
「おい、ちょ、待てよ! 優作!」
何かに急き立てられるように廊下を速足で歩いていた優作は、後ろからあとを追ってきた将清に腕を掴まれて振り返った。
「な、いってえ! 何だよ、一体!」
将清ははっとしたように、力任せに掴んでいた手を離した。
「お前、さっき俺を避けただろ」
「はあ? 何、言ってんの?」
優作は将清を見上げて睨みつけた。
ちょっと避けはしたが、大きな声で咎めるほどのことかと思う。
「また夕べも無様に尻もちついたりしてみっともないだろ! 大体俺ごときが顔合わせなかったからって何? みんながお前のこと見てないと気がすまないわけ?」
苛ついてつい、そんな言葉が口をついて出た。
それこそ俺は、昨夜将清が俺じゃなくてミドリと帰ったからって、何を苛ついてるんだ?
「優作」
将清の目に少し傷ついたような色を見つけて、優作はそんな棘を持った言葉をぶつけるつもりはなかったのにと後悔した。
思い上がりは俺じゃん、バカみてぇ………。
放った言葉はもう取り返しはつかず、優作はそれ以上何も言えないまま踵を返した。
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