ひまわり 62

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 確かに、一歩も二歩も引いてしまったのは、優作もわかっている。
 授業の後もそれがあったから、将清に辛辣な言葉をぶつけてしまった。
 でも引いた理由は………。
「あのさ、むしろ俺なんか夕べ将清に一撃で吹っ飛ばされたへなちょこなやつなわけで、それこそ何も役にたちそうにない俺なんかにそんなヘヴィな話ふられてもって気がするんだけど? 元気とか元気の用心棒とか、ああいう頼もし気なやつに相談するのが妥当じゃないのか?」
「やっぱ全然、わかってない!」
 急にミドリが声を荒げた。
「腕っぷしがどうとか、そんなんじゃないのよ。将清の心の中の問題で……」
「…………それなら、ミドリが一番わかってるわけだろ? ずっと将清のことを見てきたのはミドリなんだから……」
「あたしじゃダメなんだよ!」
 拳を握りしめてミドリが強く言った。
「あたしがどんなに……将清のこと好きでも、ダメ……なんだ……」
「え……? だって、付き合ってるんじゃないの?」
「だから、違うって! もう、とにかく、将清のこと見捨てたらただじゃおかないからね!」
 そうタンカを切ると、ガタン、とミドリは立ち上がり、「それから、優作、俺なんか、とか、口にするのやめなさいね!」と言い残し、会計を済ませて颯爽と店を出て行った。
 何だよ、それ?
 何で俺、ミドリにそんなこと言われなきゃいけないんだよ!
 ミドリとは割といい関係のように思っていたのに。
 しばらく一人ぼんやりと座っていたが、ようやく席を立ち、冷え切った弁当の袋をぶら下げてトボトボとアパートへ向かった。

 


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