ひまわり 67

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「うーん、バンドのことじゃなくてさ、元気自身のこと」
 ミドリが意外にお節介というか面倒見がいいということは長い付き合いで分かってきた。
 それによく人を見ていて、落ち込んでいたりするとミドリにはすぐ見破られた。
 そんなミドリは、卒業と同時にニューヨークに戻っていった。
 既にアーティストとして名があるミドリにとっては、学業も学生生活も十分に堪能した、ということらしい。
 それ以外に、ミドリが将清のことをもう自分が離れても大丈夫だろうと判断したせいもあるのではないかと、優作は思った。
 一年の時の、あの事件以後、小さな感情の起伏はあったものの、将清は特にひどい状態になることはなかった。
 ただ、優作の心の奥底に、ミドリからバトンタッチされた思いは呪縛のように存在していて、どんな将清をも突き放すことはできなかった。
 あるいは、自分が将清の傍にいるのはそのためにのみなのではないかとすら思われた。
 だがそれはモラトリアムの中でのみ許されることで、一歩外に出れば、いくら何でもいつまでもニコイチのようにも一緒にいられることはあり得ないのだ。
 優作にとっても、また将清にとっても互いから離れることは必要だろうと思われたし、卒業という一つの区切りは、そのための手段になり得たはずだった。
 優作はバイト先でもあった第一志望の出版社に内定が決まった時、これで将清から離れられると思った。
 いくばくかの寂しさはあったものの、職場が違ったからといって壊れるような友人関係ではない。
 ようやく将清の手を借りずに一人で立って歩くことができる、それは優作の切なる願いでもあった。
 だが、研修先でまた将清と顔を合わせた時の驚き。

 


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