ひまわり 69

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  Act 5
 
 
 それから将清との間が不穏な状況になったかというと、そんなこともなかった。
 翌日にはいつものように将清が昼を誘いに来た。
「よう、昼、どこにいく?」
 優作は少し面食らったものの、努めていつもと変わりない顔を繕った。
「丸やの定食」
「じゃあ、俺、出先から直接行ってるからな」
 ついでに周りの女の子たちにも眩しい笑顔を振り撒いて、猛暑続きというのにスーツも爽やかそうに将清はエレベーターの入り口で手を振った。
 いつもと変わりない顔で一緒に昼を食べた。
 そのうち、部署が違うにもかかわらず二人はよく顔を合わせていた筈なのに、すれ違うことが多くなった。
 九月の終わりのある夕方、うるさい美術評論家からやっと原稿を預かって帰った優作は、受け付けの女の子にいきなり呼び止められた。
「江川さんって毛利さんと仲がいいんですよね?」
「まあ、大学が一緒だから」
 何でこんな言い訳をするんだろう。
 そう思いながら、女の子の次の言葉を待つ。

 


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