ひまわり 73

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「珍しいな、仕事ってことはないよな?」
「まあ、ないな」
 ひょっとして優作と待ち合わせなのか、とも思い、元気は「優作は?」と聞いてみた。
「あいつは……関西に出張って聞いた」
 ふいに将清の表情が曇るのを見て取った元気は、そうすると二人がここに来たのは恐ろしい偶然ということか? と自問する。
 将清はカウンターの元気の前に陣取り、コーヒーを注文した。
「で? どうしたって?」
 元気が促した。
「俺は優作に無理させてたのか? ただ一緒に歩いていきたいって思ってただけなのに」
 唐突にポツリと将清が言った。
 おいおい、二人してこんな山奥まで来て人生相談か?
「まあな、やっぱ温度差ってやつじゃね? お前が一生懸命になっても、優作にはそれが却って重荷になっちまったと」
「ふん、何かえらく実感こもってるじゃねーか。常に天真爛漫にやってきたお前にもそんな経験があったって?」
「お前、俺を見損なってんだよ」
「そうだな……見損なってた……のかもな、あいつのこと」
 お前の眼はいつも俺に向けられていたのだと勘違いしたのか、俺は。
 卒業の時の、友達に戻ろう宣言も、あいつの気持ちが落ち着くまでと許したさ。
 けど俺が間違ってたのか?

 


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