ひまわり 76

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「ほんとに、今夜、平気だったのか? 突然誘っちまって、俺」
 元気は八時頃、今夜の晩飯に作ったんだが、とロールキャベツをタッパに持参して、ホテルの部屋にやってきた。
「ルームサービス、取ったから。一本じゃ足りないだろうと思ってワインも」
「リッチじゃん。どうしたの?」
 元気は目を丸くして、優作を見た。
「こないだ、泊めてもらったし、部屋が狭いと落ち着かないだろ」
 ワゴンには、もう一本ワインが氷の中に入っている。
 ローストビーフやサンドイッチをテーブルに移し、グラスを用意する。
 優作がワインのコルクを抜いて、グラスにルビー色の液体を注ぐ。
「キャンティ、お前好きだよな」
「うん」
 元気が笑う。
 そういえばと、優作は思い出したことがあった。
 ミドリが、元気が心配だ、と言っていた。
 ミドリには元気の何かが見えていたのかもしれない。
 現に、こうしてバンドを脱退して田舎に引きこもってしまった。
 父親が亡くなったこともあったかもしれないが、それだけではない気がする。
 乾杯して、しばらく食べることに専念した。
 それからふと間があった。
「で?」
 徐に元気が口を開く。
「え?」
 優作は問い返す。
「え、じゃないだろ。その見合いの相手と、お前付き合ってるわけ? 今も」
 元気はいきなり核心に触れてきた。

 


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